California

910 E. Hamilton Avenue, Suite 200
Campbell, CA 95008, USA

Phone: +1 408 574 7802
Fax: 1 408 377 3002

すべての記事

プロダクトエクスペリエンスの次の地平へ – Product Experience Summit Tokyo 2025 レポート

日本唯一のPIMサミットであるCentric PXM™(旧Contentserv)主催の年次カンファレンス Product Experience Summit Tokyo 2025(以下、PXサミット)が、2025年11月7日、シャングリ・ラ東京で開催されました。

7回目の開催テーマは 「The Next Frontier of Product Experience」。PLM×PIMの融合や生成AIを活用したコンテンツ最適化など、B2B・B2Cを問わず、プロダクトエクスペリエンスを次のステージへと押し上げるトレンドが共有されました。

PLM×PIM×AIが生み出す「エンドー・ツー・エンドの商品体験」が、企業価値を決める時代へ

今年のPXサミットで特に強調されたのは、企画・開発(PLM)、販売・マーケティング(PIM/PXM)、そしてデジタルシェルフの分析(AI/アナリティクス)を一気通貫で結ぶ 「エンド・ツー・エンドの商品体験」 の重要性です。

商品情報を企業全体の「資産」として扱い、CXとEXを同時に高めていくアプローチが、多様なセッションを通じて具体的に示されました。

本レポートでは、Centric PXMの歩みを語ったオープニング、B2BとB2Cそれぞれの実践ケース、そしてCentric Softwareが描くプロダクトエクスペリエンスの未来像まで、イベントのハイライトをコンパクトに振り返ります。詳細はぜひオンデマンド配信でご視聴ください。

※登壇者の所属・役職は開催当時の情報となっています。

オンデマンド視聴はこちら

Centric PXMの誕生:Product Experienceの次のフロンティアへ

オープニングでは、Centric PXMのアジア太平洋事業担当バイスプレジデントの渡辺信明が登壇し、Contentserv Japan立ち上げ以降の歩みとともに、Centric Softwareファミリーの一員として生まれ変わった「Centric PXM」の現在地とこれからを語りました。

PIMを「商品情報を整えるためのシステム」から、「正しく作り、正しく届け、正しく売る」ためのProduct Experience(商品体験)基盤へと進化させていく。その決意が明確に示されたセッションです。

特に、PLMで“作る”、PXMで“伝える”、そしてデジタルシェルフでレビューや競合情報をAIが“学ぶ”、この3つをつなぎ、商品企画から顧客接点までをクローズドループで回す構想が紹介されました。

「日本発のProduct Experienceを世界に示していきたい」。
渡辺のこの言葉とともに、今年のPXサミットはProduct Experienceの“次のフロンティア”を見据えた力強いスタートを切りました。

オープニングセッションの視聴(登録不要)はこちら

生活者起点で描く「つながる体験」の実装

顧客とつながり続けるためのD2C×CX戦略
基調講演:パナソニック

EC・D2Cが家電ビジネスの主戦場となる中、パナソニックはデータドリブンなCXマーケティングへと舵を切り、海外市場でのブランド体験の強化や、チャネル変化に対応した組織づくりに取り組んでいます。セッションでは、現場での成功と苦労の両方を踏まえながら、「CXはテクノロジーだけでは実現しない」 という本質的な視点が語られました。

海外マーケティング本部の森川真樹氏は、次のように強調します。

「どれだけ素晴らしいテクノロジーがあっても、組織と人が変わらなければCXは変わらない。新しい体験には、新しい“革袋(器)”と、それを使いこなす人材が必要です。」

顧客接点を継続的に磨き続ける仕組み、組織変革のリアル、そしてKPIの再設計まで、B2C企業のCX担当者にとって、多くの示唆に富むセッションとなりました。

オンデマンド視聴はこちら

“情報の迷子”から“体験の設計者”へ:PIMが生み出す社内DX
DNP × ロート製薬

ロート製薬は、社内に散在する商品情報をPIMで一元化し、社員が「迷わず・迷わせず」情報を扱える環境を構築しました。

DX推進を担う坂口 真規氏の言葉は、多くの参加者の心に残りました。「DXで一番意識しているのは費用対効果よりも“誰が幸せになるか”。顔が浮かぶ人たちが本当に楽になる仕組みにしたい。」

PIMによって、誰もが必要な商品情報にすぐアクセスできるようになったことで、営業、マーケティング、生産など、社内の働き方が確実に変わり始めているといいます。

DNPはその伴走パートナーとして、導入だけでなく運用・定着までを一気通貫で支援。梨本氏はプロジェクトの本質を次のように語りました。

「ロート様とのプロジェクトでも、PIMを入れること自体がゴールではありませんでした。業務プロセスを見直し、全体最適の中で新しい価値を生み出す、そのための手段としてPIMを位置づけています。」

“情報の管理”から一歩進み、“体験価値を生み出す組織へ変わる”。
ロート製薬のDXストーリーは、多くの企業にとって共感を呼ぶ実践例となりました。

オンデマンド視聴はこちら

製造業が向かう次のProduct Experience

世界中で同じ商品体験を届けるために:グローバルPIMが変えたもの
パナソニックコネクト × 電通デジタル

製造業にとって「製品そのものの品質」は揺るぎない強みです。しかし、市場に届く商品情報が国・地域によってばらつけば、体験価値は簡単に損なわれてしまいます。

パナソニックコネクトが挑んだのは、この構造的課題を根本から変える取り組みでした。同社は、事業部や地域ごとに最適化されてきた商品情報を、ひとつのグローバルPIMへ統合。その結果、企業全体の「当たり前」が変わり始めました。

Panasonic Connect EU, Global CX Marketing & Marketing Strategy Managerの Mihai Harca 氏は、その意味をこう語ります。

「マーケティングも営業もサービスも、すべての活動を“カスタマーファースト”という1つの軸でつなぐ。その中核にあるのがグローバルPIMです。」

つまりPIMはもはや「データ管理システム」ではなく、世界中の顧客に「同じ品質の商品体験」を届けるための企業全体の背骨として機能し始めたのです。

さらに、Mihai氏は、プロジェクトの成功について「この規模のグローバルプロジェクトを一言で振り返るなら、成功要因は“人”です。正しいテクノロジーとパートナー、そして社内の良いチームがそろえば、どんな困難でも乗り越えられると実感しました。」と強調しました。

プロジェクトを支援した電通デジタルは、商品情報統合をテクノロジープロジェクトではなく 「業務標準化」の取り組みだと強調します。

電通デジタルエクスペリエンス&コマース第2部門の藤井氏は、製造業のCXと商品情報の関係を次のように語りました。

「顧客の体験は、最終的には“どんな商品情報が届いたか”で決まります。その中核がバラバラでは、どれだけ高度なマーケティングをしても成果は上がりません。パナソニックコネクトのグローバルPIM統合は、CXの基盤をつくるプロジェクトでした。」

電通デジタルが採用したのは、短いサイクルでプロトタイプを作り、国内とグローバルのステークホルダーが実際に画面を触りながらレビューする手法です。仕様を「文章で決める」のではなく、「使う姿を見ながら合意をつくる」ことで、認識ズレを最小化し、世界共通の商品体験を実現するための業務再設計に取り組みました。

テクノロジーと人、組織の両面から商品体験を変えていく、このセッションはグローバル展開企業にとって必見の内容です。

オンデマンド視聴はこちら

紙を超えていく製造業DX:AI×PIMが解き放つ“伝わる”製品情報
エクサ:AI×PIMで紙図面からの情報抽出を加速

製造業の現場では今も、紙の図面、PDF、仕様書などに埋もれる情報が大きな負担となっています。導入支援パートナーのエクサはこの「最初のボトルネック」に対し、AI-OCR × 生成AI × PIM を組み合わせることで非構造データからの自動抽出を実現。

これまで多くの工数を要していたスペック入力作業を大幅に削減し、正確性とスピードを両立させるアプローチが紹介されました。

エクサのエンタープライズ開発本部 Smartエンゲージメント開発部 伊藤 智之 氏は、「AIをいきなり全領域に使うのではなく、まずは現場で負荷の大きい部分から現実的に進める。その積み重ねが、製造業の情報品質を確実に高めていきます。」と推奨します。

また、ビジネスソリューション営業部の色川 達也 氏は、「商品情報管理は、サプライチェーン・デマンドチェーン・エンジニアリングチェーンを横断してつなぐ“新しい基幹システム”になっていくと考えています。」と、PIMの重要性を強調しています。

「紙の図面やPDFからスペックを抜き出すだけで何十時間も…」という現場の課題をAIが解消し、“伝わる製品情報”をつくる基盤を築くイメージは、多くの参加者の共感を集めました。具体的な処理フローや自動化の精度については、オンデマンド動画でぜひご確認ください。

オンデマンド視聴はこちら

B2B・B2Cそれぞれのセッションでは、「商品情報が体験を決める」というメッセージが共通して語られました。

商品軸で全社をつなぐ:PLM×PIM×CRMが生む新しい顧客接点

電通総研

製造業の多くでは、企画・設計(PLM)、販売・マーケティング(PIM)、顧客対応(CRM)がそれぞれ独立し、「同じ商品なのに、部門ごとに“見ている世界”が違う」という課題が発生しています。

イノベーションセッションで、導入支援パートナーの電通総研は、この分断をなくし、「商品軸で情報が流れる仕組み」に変える重要性を示しました。

プロジェクトディレクター関根 宜之氏は、その本質を次のように語ります。

「商品軸で情報を見たいのは、お客様だけではありません。設計、工場、物流、営業、サービスなど、社内の誰もが、同じ商品像を前提に仕事ができることを求めています。」

PLMで管理される仕様・構成情報と、PIMが担う販売・マーケ情報が連携すると、クレームや問い合わせの原因をより早く特定できる、市場の反応や課題を設計工程に戻せる、営業・サポートが“最新版の商品理解”で顧客に向き合える、といった、情報が部門をまたいで循環する状態が初めて実現します。

電通総研のセッションは、「システムの統合ではなく、商品を中心にした業務のつながりを再設計することがDXの本質である」というユーザー側のリアルな問題意識を浮かび上がらせました。

オンデマンド視聴はこちら

エンド・ツー・エンドでつながる商品体験:Centric Softwareが描く全体像

Centric Insights(Centric PLM & Centric PXM)

電通総研が示した「商品軸でつなぐ」という視点を、企画から市場まで一気通貫で描いたのが Centric Insights セッションです。

■ 「作る情報」と「伝える情報」をつなぐ

まずCentric PLM プリセールスコンサルタント早坂 淳は、PLMについて企画・設計段階で決まる情報の質がそのまま顧客体験の質につながると指摘しました。
PLMは、規格・構成・属性といった 「商品を形づくる上流の基礎情報」 を一元管理する基盤であり、これがPXMと連携することで企業は「正しく作り、正しく伝える」ための共通土台を持つことができます。

■  市場の変化を捉え、次の改善につなげる

そして、Centric Planning / Market Intelligence では、品揃え・価格・レビューなど、市場の動きをリアルタイムに把握し、「今、何が求められているのか」を企画や商品改善へ直接フィードバックできる点が強調されました。これにより、“市場を見ながら作る” という新しい商品開発サイクルが生まれます。

■  PXMは、商品情報の生成・最適化を担う“インテリジェントな商品情報ハブ”へ

Centric PXM カスタマーサクセスコンサルタントのアンがAIの役割を次のように語りました。

「PXMのAIは現場を知っています。アクセス権も公開タイミングも理解した上で、最適な商品情報を提案します。」

PXMは、PLMから受け取るデータを整理し、チャネルに合わせて自動生成・最適化し、さらに市場での反応を取り込みながら改善していくインテリジェントな「商品情報ハブ」へと進化しています。

なぜ今、PLMとPIMをつなぐ必要があるのか

製品そのものの差が縮まる今、企業の競争力を左右するのは「どれだけ正確で一貫した商品情報を、必要なタイミングで必要な場所へ届けられるか」という点に移りつつあります。商品情報の整合性は、企画・開発から販売、そして顧客接点にいたるまで、あらゆる業務品質、ブランド体験に直結します。

さらにAI時代においては、商品データの質そのものが意思決定や自動化の精度を左右するため、PLMで作られる上流情報と、PIM/PXMが扱う販売情報がつながっていることが不可欠です。

また商品情報は、CDPやCRMが扱う「顧客情報」と並び、企業のビジネスを支えるもう一つの基盤データとしての重要性を増しています。両者がそろってはじめて、顧客にとって意味のある体験設計が可能になります。

Centric Softwareが描くのは、こうした企業全体の情報基盤を支える中心に、「商品情報の整合性とコンテンツサプライチェーン」を置くべきというProduct Experience時代の新しい前提です。

オンデマンド視聴はこちら

Product Experience コミュニティが交わる場所として

セッション後の懇親会では、登壇企業・パートナー・参加者が一堂に集まり、業界や立場を超えた活発な議論が交わされました。

テクノロジーパートナーとして登壇したコネクティの代表取締役社長 服部 恭之氏も、グローバルWeb戦略やローカライズのリアルを語り、イベント本編では聞けない“現場の本音”があちこちで飛び交いました。

参加者アンケートでは、基調講演・ユーザー事例・イノベーションセッションに特に高い関心が寄せられ、9割以上がイベントに「満足」と回答。

興味領域としては、AI活用、PIM/PXM の具体的な運用、PLM×PIM 連携、導入支援パートナーの役割などが挙がり、自社導入を検討する企業とソリューションパートナーが、ともに次の一歩を模索している姿が印象的でした。

「自社のDXにすぐ活かせる内容が多かった」「AI活用をもっと知りたい」という声も多く、商品情報の分散や属人化を課題とする企業にとって、PIM/PXMの重要性がいっそう高まっていることがうかがえます。

まとめ: プロダクトエクスペリエンスの次の一手を、オンデマンドで

Product Experience Summit Tokyo 2025では、PLM×PXM×AI が生み出す新たなProduct Experienceを、B2B・B2C双方の実践から多角的に描き出しました。

商品情報の整備やデータ統合に課題を感じている方、グローバルや組織横断での運用を見直したい方、あるいはお客様への提案の幅を広げたい方にとって、本イベントは多くのヒントと具体的な知見を提供する内容となっています。

各セッションの詳細はオンデマンドで公開中です。
ぜひ、ご自身の業務やプロジェクトの中で、これからのProduct Experienceを形にする“次の一手”を見つけるきっかけとしてご活用ください。

オンデマンド視聴はこちら

つながりを形にした瞬間
- Moments from Product Experience Summit Tokyo 2025 -